犯罪現場
血痕パターン分析:血痕の読み解き方 血痕パターン分析は、血痕の大きさ、形、位置を読み取り、血液がどこから来たのか、何がそれを動かしたのか、そしてどの順序で起きたのかを明らかにします。
公開日 2026年10月1日 18分で読めます
このページの内容 血痕パターン分析とは 体の外に出た血液のふるまい 血痕パターンの3つの系統 衝突角度の計算方法 血液がどこから来たかを突き止める 血痕パターンの記録方法 血痕パターン分析はどこまで信頼できるか 血痕パターン分析を行うのは誰か 血痕パターン分析の小史 よくあるご質問 要点 血痕パターン分析では、血痕を受動血痕、転写血痕、飛沫血痕に分類し、その形と位置から流血の経緯を再構成します。 飛沫血痕の衝突角度は、幅を長さで割った値の逆正弦(アークサイン)です。ひとつの出来事から生じた血痕は、血液の発生源があった領域へと収束します。 この分野で最大規模のブラックボックス研究(分析担当者75名、パターン192件)では、原因が判明している試料について、分析担当者の回答の11.2%が誤っていました。手法の精度は、それを支える計測の精度を超えません。 3Dスキャンなら、現場が清掃された後も血痕の形と位置を計測できる状態で残せるため、分析を検証し、やり直すことができます。 血痕パターン分析とは、現場の血痕を調べて、そこで何が起きたかを再構成することです。出血している人や血液の発生源がどこにあったか、血液にどのような力が加わったか、人がどう動いたか、そして物事がどの順序で起きたかを明らかにします。英語では俗に blood spatter analysis(血しぶき分析)と呼ばれますが、飛沫は分析対象のパターンのひとつにすぎないため、専門家は bloodstain pattern analysis(BPA)と呼びます。
このガイドでは、血痕の種類、その形を決める物理、衝突角度と発生源領域の計算、パターンの記録方法、そして結論がどこまで重みを持てるかを解説します。
血痕パターン分析とは
血痕パターン分析は、血痕の大きさ、形、分布、位置を調べ、それを生み出した出来事を推論する法科学の一分野です。各血痕を、落下した、飛ばされた、あるいは転写された一滴という物理的な過程の終点とみなし、血痕からその過程へとさかのぼって推論します。
よく記録されたパターンからは、多くの場合、次のことがわかります。
血液の発生源がどこにあり、床からおよそどの高さだったか 仕組み:滴下、打撃、銃撃、動脈の切断、あるいは呼気によるものか 人や物がどの方向に動いたか、場合によってはどの速さで動いたか 血の付いた凶器で加えられた打撃の最少回数 流血の後に遺体や物が動かされたかどうか あるパターンが別のパターンの上に重なっている場合の、出来事の順序
わからないのは、それが誰の血かということです。それはDNA分析の役割です。両者は連携しており、試料を採取すると痕跡が変わってしまうため、パターンは採取の前に記録します。
「血しぶき」と「飛沫血痕」の違い
日常語では「血しぶき」と言いますが、専門家は「血痕」と呼び、この分野を血痕パターン分析と呼びます。報告書で「飛沫血痕」と呼ぶのは、外力によって空中に飛ばされた滴の痕跡だけです。自重で落ちた滴や、壁をこすった跡は血痕ですが、飛沫血痕ではありません。
体の外に出た血液のふるまい
どのパターンも、血液のいくつかの物理的性質から生まれます。血液のおよそ55%は血漿で、そこに赤血球、白血球、血小板が浮遊しています。血液はずり流動化を示す非ニュートン流体としてふるまい、速く動かされるほど流れやすくなります。空中では、表面張力によって滴は球形になります。実際の滴は、アニメに描かれるような涙形ではありません。
衝突時に何が起きるかは、主に2つの要素で決まります。滴が到達する角度と、着地する面です。滑らかで硬い面に90°で当たった滴はほぼ円形の血痕を残し、角度が浅いほど楕円は長くなります。カーペットや無塗装の木材、綿のように粗い面や吸収性のある面では、ほぼどの角度でも滴の縁がスパインやサテライト血痕に崩れます。そのため、下地そのものが証拠の一部になります。
分析担当者は、ひとつの血痕から4つの特徴を読み取ります。
親血痕:滴そのものが残す主な楕円です。その幅と長さから衝突角度が求まります。 スパイン:前縁に出る短い突起で、滴が進んでいた側ほど目立ちます。 サテライト血痕:衝突時に分離し、親血痕の先に落ちた小さな滴です。 テール:進行方向を指す、先細りの端です。長さを測るときには含めません。
滴の大きさからわかることは、見た目ほど多くありません。力の大きさ、使える血液の量、下地のいずれもが大きさを変えます。これが、後述する古い速度分類が使われなくなった理由のひとつです。
血痕パターンの3つの系統
分析担当者は、血痕を生み出した仕組みによって分類します。広く教えられている分類では、受動血痕、転写血痕、飛沫血痕の3つの系統に分けます。Stuart James、Paul Kish、Paulette Suttonによる分類では、転写血痕を受動血痕に含め、形成後に変化した血痕を変化血痕として別に立てています。個々のパターンは、AAFS Standards Boardの用語集であるASB Technical Report 033で定義されています。
変化血痕(凝固、乾燥、希釈、ワイプ、清掃されたもの)とボイドは、どの系統にも見られます。
受動血痕:滴下、流下、血だまり
受動血痕は重力だけで形成されます。滴下血痕は落ちた一滴の跡で、滴下痕の列は移動する発生源が残した一連の滴です。その間隔は速さの手がかりになり、間隔が狭ければゆっくりした動きを示します。流下血痕は、面を伝って流れた血液です。遺体が発見された姿勢で上り坂方向に流れている流下血痕は、遺体が動かされたことを示します。血だまりは、発生源が血液がたまるほど長く一か所にとどまった場所にでき、多くの場合、被害者が最後にいた場所を示します。
転写血痕:スワイプとワイプ
転写血痕は、血の付いた面が別の面に触れたときに残ります。スワイプは、血の付いた手を壁に滑らせたときのように、きれいな面に血液を運ぶものです。ワイプはその逆で、すでにあった血液の中を何かが動き、それを乱した跡です。そのためASBの用語集では、ワイプを転写血痕ではなく変化血痕に分類しています。スワイプのほつれた縁は、ふつう動いた方向に向かって細くなります。靴底、手のひら、袖の織り目などの模様の転写は、それを残した物と照合できます。
飛沫血痕:衝撃、キャストオフ、動脈性、呼気性
飛沫血痕は、滴として空中を飛んだ血液の跡で、何がそれを動かしたかによって分類されます。
衝撃飛沫:出血している傷への打撃のように、力が液体の血液に加わったものです。滴は衝撃点から放射状に飛び、そのおかげで発生源領域を計算できます。 銃撃飛沫:後方飛沫(バックスパッター)は射入口から銃器の方向へ飛び、前方飛沫(フォワードスパッター)は弾丸とともに射出口から出ます。前方飛沫はふつう後方飛沫より滴の数が多く、どちらにも細かい霧状の飛沫が含まれることがあります。どちらも見落としやすく、最も細かい滴は呼気性の血液と取り違えられることがあります。その位置を特定することは銃撃現場の再現 の一部です。 キャストオフ:振り回された血の付いた物から振り飛ばされた血液で、多くは天井や壁に直線状の列として残ります。最初の一撃の時点では、ふつう露出した血液がないため、キャストオフが残ることはまれです。そのため、列の数に1を足した数が、異論はあるものの、打撃の最少回数の一般的な目安とされます。振られた物が急に止まったときに生じるものは、セセーション・パターン(セセーション・キャストオフとも呼ばれます)です。 動脈性パターン:損傷した動脈から送り出された血液で、心拍に合わせて上下する弧やジグザグを描きます。パターンが形成されたとき、その人が生きていたことを示します。 呼気性飛沫:鼻、口、気道の傷から、呼吸、咳、くしゃみによって吐き出された血液です。ふつう細かく、小さな気泡を含むことがあり、それによって同じ大きさの衝撃飛沫と区別できます。
変化血痕とボイド
血液は着地した後に変化します。数分で凝固し、縁から内側へ乾き、赤から茶色へと暗くなり、薄められたり、塗り広げられたり、拭き取られたりします。分析担当者は、こうした変化を時間と行動の手がかりとして読みます。新しい滴の下に凝固した血液があれば出血が続いたことを、薄まった血痕は水や清掃を示します。拭き取られた血液が完全に消えることはまれです。ヘモグロビンの鉄と反応するルミノールを使えば、かすかな痕跡が暗闇で光ります。
ボイドとは、本来は連続しているはずのパターンに生じた空白で、人や物が発生源と面のあいだにあった場所です。何もないボイドは何かが動かされたことを示し、その物が見つかれば、対応する血痕が付いています。
「低速・中速・高速」の飛沫分類が使われなくなった理由
古い教科書は、飛沫を速度で分類しています。滴下による4 mm以上の低速血痕、打撃による1〜4 mmの中速血痕、銃撃による1 mm未満の高速血痕です。血液の発生源に加わる打撃の速さは、それぞれ最大1.5 m/s、1.5〜7.5 m/s、30 m/s以上とされていました。
この分類が廃れたのは、原因と大きさを混同しているからです。速度は血液の発生源に加わった打撃を表すもので、滴の速さではありませんでした。一度の打撃でもあらゆる大きさの滴が飛びますし、咳でも銃撃と同じくらい細かい霧が生じます。そのため、血痕を「高速」と呼ぶことは、パターンからは示せない銃撃を暗に意味していました。こうした過大解釈が、いくつもの争われた事件の背景にあります。現在の用語では、証拠が裏づける仕組みを示すか、単に血痕を記述します。
衝突角度の計算方法
衝突角度とは、滴の飛行経路と、それが当たった面とのなす角で、血痕の形から直接求まります。角度の正弦は、血痕の幅を長さで割った値に等しくなります。
衝突角度 = arcsin(幅 ÷ 長さ)
粗い下地や別の滴でゆがんだものではなく、輪郭のはっきりした楕円の血痕を選びます。 最も幅の広い位置で幅を、長軸に沿って長さを測ります。テールは含めません。 幅を長さで割り、その逆正弦を求めます。
幅4.0 mm、長さ8.0 mmの血痕なら、幅 ÷ 長さ = 0.50で、arcsin 0.50 = 30°です。幅と長さが等しい円形の血痕は90°となり、滴が真上から落ちたことを示します。
小さな計測誤差も影響します。幅4 mmを4.1 mmと読むと角度はほぼ31°になり、幅2 mm、長さ4 mmの血痕では同じ0.1 mmで角度が2°近く動きます。数十個の血痕を発生源へ逆投影すると、この誤差は積み重なります。そのため分析担当者は多くの血痕を測り、目分量ではなく楕円を当てはめ、斜めから撮った写真ではなく面そのもので計測します。
血痕の長軸は面上での向き(方向性)も示し、テールはその軸のどちら向きに滴が進んでいたかを示します。
血液がどこから来たかを突き止める
ひとつの衝撃から生じた血痕は単一の発生源から放射状に広がるため、その幾何学をさかのぼることができます。手順は2段階です。まず面上の収束領域を求め、次に室内の発生源領域を求めます。
収束領域:各血痕の長軸を面上で後方へ延ばします。線は小さな範囲で交わり、そこが平面上、つまり2次元での発生源の位置です。 発生源領域:その範囲から、各血痕の衝突角度で立ち上げます。高さは、血痕から収束領域までの距離に角度の正接を掛けた値で、h = d × tan αです。
収束領域から80 cm離れ、床に30°で当たった血痕は、発生源を床から約80 × tan 30° ≈ 46 cmの高さに置きます。床に近く、立っている人の頭の高さよりはるかに低い位置です。多くの血痕で計算を繰り返すと点は領域になり、報告されるのはその領域です。
この作業には3つの方法があります。
糸張り法:各血痕から衝突角度に沿って糸を張り、糸が交わるまで後方へ延ばします。物理的で見せやすい一方、時間がかかり、糸を外した時点で終わります。 正接法:同じ幾何学を、血痕ごとに計算する方法です。 ソフトウェア:HemoSpat、BackTrack、FARO Zone 3Dなどのプログラムが、計測した血痕から発生源領域を計算します。写真や現場の3Dモデルをもとに処理できます。
3つとも、飛行経路を直線として扱います。実際の滴は重力で落ち、空気中で減速するため、出発時より急な角度で到達します。そのため直線を前提とする方法は、発生源を実際より高く置く傾向があります。発生源領域が範囲として報告されるのはこのためで、血痕をより正確に測れば、その範囲を正当に狭められます。
血痕パターンの記録方法
分析の質は現場の記録の質を超えません。そして作業の大半は、誰かが解釈を始める前に行われます。典型的な手順は次のとおりです。
何にも触れる前に全景写真と現場の記録を取り、続いて各パターンの中距離写真と接写写真を撮ります。 すべての接写写真にスケールを入れ、血痕と同じ平面に置き、カメラを面に対して垂直に構えます。 標識付けと計測:対象となる血痕に番号を付けます。多くの場合、面に貼ったグリッドや基準線を使い、各血痕の位置、幅、長さ、方向を記録します。 DNA試料の採取は、パターンを完全に記録してからにします。 各血痕を3次元で位置づけられるよう、部屋そのものを計測します。
どの手順にも、知られた弱点があります。写真は面を平らにしてしまい、角度の根拠となる幅と長さの比そのものをゆがめます。スケールは拡大率を補正できても、数度傾いたカメラまでは補正できません。手作業での計測は時間がかかり、現場が解放されて清掃された後は、見落としたものを測り直すことはできません。
3Dスキャンが変えたのは、まさにこの部分です。スキャンは各血痕の形をそれが付着した面とともに記録し、計測された部屋のモデルの中に位置づけます。そのため衝突角度と発生源領域は、同じ分析担当者でも、検証者でも、相手方の専門家でも、後から再計算できます。手法の詳細は血痕パターン分析のための3Dスキャン で解説しており、同じ取得データは犯罪現場の3D再現 にも使えます。
所要時間はパターンと現場の大きさによって変わります。違いが出るのは桁です。
実務でこの用途に使用
Artec Spider II
血痕とその下の面をまとめて記録するハンドヘルド型の構造化光スキャナーです。平らな写真ではなく実際の面の上で幅と長さを計測でき、血痕には何も触れません。Artec Ray IIによる部屋のドームスキャンと組み合わせれば、すべてのパターンがひとつの座標系に収まります。
3D点精度 最大0.05 mm
3D解像度 最大0.05 mm
面へのターゲット貼付 不要 血痕パターン分析はどこまで信頼できるか
血痕パターン分析が否定されたわけではありませんが、その限界は記録されており、テレビが思わせるよりも大きなものです。滴が形成され、飛び、衝突する物理はよく理解されています。弱点は、複雑なパターンを人間が解釈する部分にあります。
2009年の米国科学アカデミー報告書 は、血痕パターン分析の不確実性は非常に大きく、多くの専門家の意見は科学的というより主観的だと結論づけました。2021年には、NIJが資金提供したブラックボックス研究 が、現役の分析担当者75人に、実際の事件を代表するよう選んだ192件のパターンを判定させました。原因が判明している試料では回答の11.2%が誤っており、研究全体では回答の7.8%が他の分析担当者の回答と矛盾しました。ただし、グループ全体の合意が誤ることはまれでした。
研究の著者らは、本当に解釈が食い違ったケースに加えて、分析担当者が同じ用語を別々の意味で使うという意味上の違いも誤りの原因になったと指摘し、用語と分類の規格の改善を求めました。ほかに繰り返し見られる問題は、記録の不足、血痕の少ないあいまいなパターン、そして文脈です。捜査側の仮説を知っている分析担当者ほど、その仮説を裏づけるものを見てしまいがちです。
イングランドとウェールズでは、Forensic Science Regulatorが実務規範(Code of Practice)のもとで血痕パターン分析のガイダンスを公表しています。米国では、この分野はAAFS Standards Boardによるコンセンサス規格 で対応してきました。
ASB Technical Report 033:用語と定義(2017年) ANSI/ASB Standard 030:品質保証プログラム(2019年) ANSI/ASB Standard 072:手順の妥当性確認(2019年) ANSI/ASB Standard 031:報告書の作成(2020年) ANSI/ASB Standard 032:研修プログラム(2020年)
結論を擁護できるものにする条件は、どこでも同じです。誰でも検証できる計測、記録された手法、そしてパターンが示す以上のことを主張しない意見です。相手方が血痕を測り直せる記録もその一部です。詳しくは法廷での3D証拠 をご覧ください。
血痕パターン分析を行うのは誰か
血痕パターン分析担当者は、独立した職業というより、この専門分野を身につけた鑑識捜査員や法科学者であることがほとんどです。警察の鑑識部門、科学捜査研究所、監察医や検視官の事務所、そして民間で活動しており、民間ではどちらかの当事者の専門家証人を務める人も多くいます。
研修はふつう、パターンの種類と角度・発生源の計算を学ぶ40時間の基礎コースから始まり、上級コースや指導のもとでの実務へと続きます。International Association for Identification(IAI)はBloodstain Pattern Analyst認定を提供しており、International Association of Bloodstain Pattern Analysts(IABPA)は主要な専門団体です。ANSI/ASB Standard 032は、研修プログラムが扱うべき内容を定めています。
デクスター・モーガンが壁一面から事件のすべてを読み取るテレビの描写は、何日もかかる計測と検証を一瞬に縮めています。実際の仕事の大半は、丁寧な記録、計算、そして反対尋問に耐える報告書の作成です。
血痕パターン分析の小史
1895年:クラクフ出身でウィーンの法医学研究所に勤めていた医師Eduard Piotrowskiが、頭部への打撃による血痕について初めての体系的な研究を発表します。 1955年:Paul KirkがSam Sheppard殺人事件の現場と血痕を調べます。この分野の初期の節目です。 1971年:Herbert MacDonellが『Flight Characteristics and Stain Patterns of Human Blood』を発表し、1973年に初めての正式な血痕講座を開きます。 1983年:International Association of Bloodstain Pattern Analystsが設立されます。 2009年:米国科学アカデミーの報告書が、この分野の科学的基盤に疑問を投げかけます。 2017年〜2020年:AAFS Standards Boardが、以前のSWGSTAINの用語を土台に、この分野の米国のコンセンサス用語と規格を発表します。 2021年:この分野で最大規模のブラックボックス研究が、分析担当者の結論がどの程度の頻度で誤るかを測定します。 現場の解放後も長く、血痕を計測できる状態で残しましょう。血痕の3D記録のデモをご予約ください。
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よくあるご質問 血痕パターン分析は本当に科学なのか、それとも否定されたのか? 限界が記録された、実在の分野です。滴が形成され面に当たる物理は十分に確立されており、誤りが生じるのは複雑なパターンの解釈の部分です。この分野で最大規模のブラックボックス研究では、原因が判明している試料について回答のおよそ11%が誤っていました。裁判所は現在もこれを証拠として認めていますが、分析担当者の手法と記録への精査は強まっています。
血痕パターンの主な種類は? 重力によってできる受動血痕(滴下、流下、血だまり)、接触によってできる転写血痕(スワイプ、印象痕)、そして空中に飛ばされた滴による飛沫血痕(衝撃、キャストオフ、動脈性、呼気性)です。ワイプを含む変化血痕とボイドは、別のグループにまとめられます。
スワイプとワイプの違いは? スワイプは、血の付いた物がきれいな面の上を動き、そこへ血液を運んだ跡です。ワイプは、物が既存の血痕の中を動き、すでにあった血液を乱した跡です。標準的な用語では、ワイプは変化血痕に分類されます。
キャストオフのパターンから何がわかりますか? 血の付いた物、多くの場合は振りかぶった凶器が振られたことです。列は振りの方向と平面を示し、列の数に1を足した数が、異論はあるものの、打撃の最少回数の一般的な目安とされます。最初の一撃の時点ではふつう露出した血液がないためですが、太い血管を傷つける一撃であれば、すぐに凶器に血が付くこともあります。
血痕から被害者が生きていたかどうかわかりますか? 場合によってはわかります。動脈性パターンには拍動する心臓が、呼気性の血液には呼吸が必要なため、どちらも形成時にその人が生きていたことを示します。受動血痕やほとんどの転写血痕からは判断できません。